富士山トレイルランニング(須走ルート)

3年前ぐらいに吉田口から富士山に登ろうといわゆる普通の登山スタイルでカミさんと登ったことがある。その時は8合目の白雲荘で仮眠をとっている最中にみぞれ混じりの雨になってしまって登頂をあきらめてしまった。
しばらくは富士山は登らなくてもいいかなと思っていたけれど、最近また読み始めた新田次郎の本に触発されて今年のうちに頂上を踏んでおこうと思った。しかし、計画したのがすでに9月に入ってからだった。9月に入ると気温も下がり山小屋も営業をやめてしまうのでいざという時にエスケープできないので少し心配だ。
スケジュールの兼ね合いで9/8か9/9しか登るチャンスがなくなった。しかし9/8には発熱してしまい、さらに天候も安定しておらず今年は無理かもなぁと思っていた。
昼寝をして夕方9/9の天気予報を見るとどうやら天候は回復するようだ。体調も戻ったし富士山トレランを決行することにした。
今回は公共交通機関を使って日帰りすることを目標にしていたので須走口5合目から登ってお鉢巡りして帰ってくる行程表を組んだ。12時に剣ヶ峰、15時に須走口5合目帰着の予定だった。15時台のバスは無いので1時間ほど待ちがあるが、ビールを飲んで待つ分には構わないと思っていた。
横浜から東海道線に乗って国府津で御殿場線に乗り換える。御殿場線ではSUICAが使えないことを事前に知っていたので切符はすでに現金で購入してある。
御殿場に着くとバスのチケット売り場で須走口5号目往復のチケット(\2000)を買う。片道\1500が往復で\2000になるのだから購入しない手は無い(二日間有効)
ほどなくしてバスが到着。トレランスタイルの人は3人ぐらいか。座席は全部は埋まらなかった。


真正面に富士山を見ながら1時間ほどバスに揺られ須走ルート登山口に到着。富士山は雲に隠れてしまった。
準備とトイレ(\200)を済ませ団体客を縫って早歩きで先を急ぐ。ガタイのいい連中だった。颯爽と抜いていくと後ろから「はえー」と声が聞こえる。おっちゃんはその練習なのよ。
樹林帯を抜けるとトレイルランナー3人の固まりになった。私は真ん中だったのだが後ろの若い人が速そうだったので先に行かせる。そして先頭だったおっちゃんを二人で追い越す。隊列の順番がそっくりひっくり返った。
雲の中で黙々と高度を上げていく。さっきの若い兄ちゃんは見えなくなった。高度3000m(スタートから1時間30分)で一瞬雲が途切れる。

先ほどの若い兄ちゃんがちらっと確認できた。それほどは離れていないが追いつけないだろう。
と思ったら数分後に兄ちゃんが道端に座って痛がっている。「怪我でもした?」と聞いたら「足がつった」とのこと。本人が大丈夫だと言っていたので先に行かせてもらう。 空気が薄くなってきたのを感じる。意識的に呼吸の回数を増やす。はた目には死にそうな雰囲気で後ろから変なのが迫ってくるので自然に道をよけてくれる。まだありがとうをいう元気はあるので大丈夫。
雲が完全に切れた。こんなに日差しがきつくなるのを予想していなかったので日焼け止めを塗ってこなかったのを後悔した。
ひたすら歩く。早足で一歩も止まらず黙々と登る。人はそれほど多くない。道も広いので抜かすのは容易だ。
高度3000m超えてから頭がクラクラしていたのだが今度はだんだんと胃がムカムカし始める。水とジェルしか飲めなくなった。でも腹は減っていた。

鳥居が見え始めたので気合で進む。鳥居の時点でスタートから1時間45分高度3400m
小屋の前では登山者が休んでいる。目の前を変なのが走り抜けるのを目で追ってはいるがしゃべるのもおっくうのようだ。
途中で抜かした若い人に「早いですよね」と言われるが「いやーきっついきっつい」と返してひたすら登る。本当にきついのだ。
黙々と登ったら視界が開けた。人がいっぱい休んでいる。ありゃ、浅間大社奥宮についてしまった。あっけない。
ここまででちょうど3時間高度3700m。胃のムカムカが収まらない。水しか飲めないのでアミノ酸を飲むことにする。でも腹は鳴る。
そのまま休みも取らずにお鉢巡り開始。噴火口がとても迫力がある。三原山で曇りのために見れなかったのが悔やまれる。あちらも再チャレンジしないと。 剣ヶ峰で写真待ちに並ぶ。10分ぐらいで回ってきたので写真の撮りあいっこをする。大きな小学生がたくさんだ。
写真を撮ってもらうと走ってお鉢巡りを再開。この時点で12時ちょうど。下りはじめを13時で計画していたのでちょっと巻き返せると思った。
一周回ってさらにもうちょっと進んだところに須走口の下山道が左に出てくる。
かっ飛ばして下るぞー!と思っていたが足に力が入らない。固形物を食べていないのでどうも力がわかないのだ。4個持ってきたジェルは飲み終えてしまった。あとはチーカマ2本とミックスナッツだけだ。ミックスナッツを食ったら余計胃が痛くなりそうだったのでチーカマを食べる。なかなか呑み込めない。もぐもぐもぐもぐ200mぐらい高度を下げてやっと呑み込めた。それ以降は腹の虫は治まってくれたみたいだ。
ガレ場を必死こいて降りていたら登り始めの体格のいい兄ちゃんに出会う。どうやら今日中に登って降りてこられないのではないかとリーダーと相談していた。何人かは実際に降り始めていた。
しばらくして登りで足がつった兄ちゃんに後ろから追いつかれた。ちょっと立ち止まって話す。両足つっちゃって、でも下りの足は残っているからといって天狗のように去って行った。私の足はあまり残っていない。
途中の山小屋(大陽館?)で休んでいるご夫妻から声をかけられる。下の方で出会ったらしい。トレイルランナーはやはり注目を浴びてしまうのを痛感する。体格のいい兄ちゃんたちが遅れていると話すと、ああラグビー部の人ね。と言っていた。どうりでガタイがいい。ご夫妻に挨拶して降りていく。
ほどなくして須走(砂走り)が現れる。トンネル状になっているところを抜けたらさっさと降りる。たまに石が落ちていてその上に足を置くと膝にくる。慎重にかつさっさと降りていく。


砂走りを終えると吉野家(売店)が現れる。その後は樹林帯へ。木の根っこが出ていて非常に歩きにくい。この時点でまだ13時半になっていない。もしかしたら14時のバスに間に合うのではないかとピッチを上げる。
樹林帯を抜け平地に出る。遠くにバスが来ているのが見える。5合目のちょっとした繁華街をもうダッシュで走り抜けるトレイルランナー。さぞかし奇異に映ったに違いない。
バスに乗り込むと先ほど抜いて行った兄ちゃんが。「間に合いましたね。これ逃すと16時までないですからね~」。いやほんとに。
少し話をすると、どうやら吉田口を1合目から登るルートが面白いとのことだ。スバルラインができる前は使われていた登山道なので整備されていて気持ちがいいとのこと。もうちょっとトレーニングして挑戦します。
御殿場駅でビール買って電車に乗り込む。首の後ろと腿から下が真っ赤だ。帰ったら氷攻めだな、と今日の山行を振り返りながら帰路についた。
今日の山行記録。正味5時間で写真待ちが10分ぐらいか。登り3時間、下り2時間。計画表よりバス到着で15分早まり登りで45分ぐらい稼いだので14時のバスに間に合った。予定通りとはいえ下りが課題だな。あと胃が痛くなったのは初めてだ。高所での食料をどうするかも考えなくてはいけない。

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